ささっと摂氏華氏計算摂氏華氏の換算式と早見表

最低温度と最高温度のお話

摂氏でも華氏でも、温度の換算表をみていると、一番低い温度は何度で、一番高い温度は何度だろう? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

このページでは摂氏・華氏からケルビンへの自動変換や、最低温度と最高温度に関してのコラムのページです。お暇な方だけどうぞ。笑

最低温度のお話

絶対零度
これ以下には温度がさがらない最低温度、すなわち一番低い下限の温度を「絶対零度(ぜったいれいど)」と呼びます。

絶対零度はセルシウス(摂氏)では−273.15ºCで、ファーレンハイト(華氏)では−459.67ºFです。
科学では絶対温度(ケルビン)という単位が用いられ、絶対零度は0K(ゼロケルビン)になります。

ケルビンと摂氏・華氏の自動計算

ついでなので、ケルビンの計算がささっと自動計算できるようにしました。半角英数字で数字を入力してみてください。

華氏F°は、Kです。

摂氏ºCは、 Kです。
摂氏からケルビンの換算式
=摂氏+273.15=K

華氏からケルビンの換算式
=5÷9x(華氏-32)+273.15=K

なぜ最低温度は−273.15ºCなの?
物質の中では、原子や分子などの粒子が活発に動き回って熱を発しています。
(粒子とは大きい順に、分子>原子>中性子・陽子>電子となります。原子より小さいものは素粒子と呼びます)

たとえば空気に含まれる酸素や窒素などの分子は、秒速で300メートルくらい動き回っています。

温度を下げていくと、分子の動きが鈍くなってきます。そしてあるところまで温度を下げると、分子が全く動かなくなってしまうと古典力学では考えられています。その温度が摂氏-273.15度「絶対零度」なのです。

宇宙の平均温度は-270ºCと言われています。とっても寒いですね!

宇宙の平均温度は-270ºC

超流動・超伝導
ただし量子力学の世界では、最低の温度になっても原子の振動は完全には止まらないと考えます。その状態、すなわち最低のエネルギーを保っている状態を、「零点振動」と言います。(不確定性原理)

たとえばとても軽い気体ヘリウムは、絶対零度近くまで冷やしても凍りません。それどころか、抵抗がなくなって「超流動ヘリウム」という状態になります。超流動ヘリウムをコップに入れると、コップの壁をよじ登り、こぼれてしまいます。(超流動現象

これはヘリウムの性質によっておこる現象ですが、金属の場合も超低温にすると電気抵抗がなくなり、「超伝導体」となります。超伝導はニュースでも取り上げられることがあるので馴染みのある言葉かもしれませんね。

人間が作れる最低温度は何度?
私たち人間は、-273.15ºC、すなわち0K(ゼロケルビン)という超低温にかなり近い所まで下げることができていますが、-273.15ºCを作り出すことはできません。

これまでに人工的に作り出した最低温度は、250pK(-273.149999925ºC)です。

最高温度のお話

最低温度の下限は0ケルビンでした。最高温度にも上限があります。それは、$1.41679\times10^{32}$ケルビンで、プランク温度と言います。

高温になるほど、想像ができないような高い温度になりますので、具体的な例で温度を少しずつご説明します。

プラズマの温度は1万ºC

蛍光灯内部のプラズマの温度は1万ºC
最低温度のお話のときに、空気中の分子は秒速300メートルくらいで動き回っているとお話しました。気体の温度を上げていくと、この動きはもっと早くなっていきます。

ある温度まで達すると、原子核から電子が離れて、別々に動き回る状態になります。この状態をプラズマと言います。プラズマは身近で、例えばみなさんのお家にある蛍光灯や雷もプラズマです。

蛍光灯は、内部で気体の分子が飛び回って、イオンと電子が再結合するときに紫外線を発する仕組みを利用しています。内部に塗った蛍光体という塗料が紫外線をキャッチして発光しているのです。

蛍光灯内部のプラズマは、実は1万度になっています。でも蛍光灯を触ってもあまり熱く感じないのは不思議ですよね。理由は、内部の物質量が少ないためです。80ºCのお風呂のお湯には入れませんが、80ºCのサウナには入ることができます。これが物質量の違いです。

太陽の温度は5000ºC

太陽の温度は5000ºC
太陽の表面温度は5,778 K、摂氏で約5000ºC以上です。核融合反応が起きている太陽の中心では、摂氏1500万ºCと言われています。

輝く恒星の核融合温度は1億ºC
太陽や夜空に輝く恒星は、中心部の核融合により熱エネルギーが光となって輝いているのです。

私たち人間も、人工的に核融合を起こして発電など様々な産業で利用しています。2013年に日本で1億5000万ºCを作り出すことに成功したのだそうです。

ただし、人間が実験している施設などでは、蛍光灯と同じ理由で粒子の数が少ないため、全てが燃え尽きてしまうような事態にはなりません。

超新星爆発は100億ºC
宇宙で輝く星にも、寿命があります。大きく巨大な恒星が長年燃え続け、最後に爆発することを超新星爆発と言います。星の最期の形であり、この爆発によって新しい星が誕生することにもなります。

その超新星爆発では中心温度は100億度ºCに達するものもあると考えられています。

論理上の最高温度はプランク温度
宇宙の始まりビックバンの直後は10兆ºCだと考えられています。このように最高温度を論理的に計算すると、物理的に意味があると考えられる温度の上限は「プランク温度」になります。

$Tp=\frac{m_{P}c^2}{k}=\sqrt{\frac{\hat{h}c^{5}}{Gk^{2}}=1.416833\left(85\right)\times10^{32}K }$

プランク温度は$1.41679\times10^{32}K$(ゼロが32個)です。
ゼロが32個の数の単位を、億、兆、京と数えていくと、こうという単位になります。

$10^{0}$ 一
$10^{1}$ 十
$10^{2}$ 百
$10^{3}$ 千
$10^{4}$ 万
$10^{8}$ 億
$10^{12}$ 兆
$10^{16}$ 京 (けい)
$10^{20}$ 垓 (がい)
$10^{24}$ 秭 (じょ)
$10^{28}$ 穰 (じょう)
$10^{32}$ 溝 (こう)
$10^{36}$ 澗 (かん)
$10^{40}$ 正 (せい)
$10^{44}$ 載 (さい)
$10^{48}$ 極 (ごく)
$10^{52}$ 恒河沙 (ごうがしゃ)
$10^{56}$ 阿僧祇 (あそうぎ)
$10^{60}$ 那由他 (なゆた)
$10^{64}$ 不可思議 (ふかしぎ)
$10^{68}$ 無量大数 (むりょうたいすう)

数の単位の説明

最低温度、最高温度を調べていくと、結局物理学・量子力学などで理論的に計算・説明できる範囲に行きついてしまいます。算数が苦手な人にとっては困ったものですね。でも、概念だけでも理解できると、とても楽しいですね。

このページのコラムで、少しだけでも最低温度と最高温度に関して「へぇ~!」と思っていただけたら嬉しいです。

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